カンナ

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丁寧なカンナ作業で仕上げられた木は、表面の光沢が違います。
それは、木が持つ本来の輝きを引き出し、工業製品とはまるで違う手触りに仕上がります。

私は削りあがった木を少し斜めから見たときの鏡のような美しさが大好きです。
少しずつ経年変化により、この光沢がなんともいえない味をかもし出します。

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同じ刃、同じ研ぎ方、同じ腕であれば、仕上がりも同じでしょうか?

答えは、「違います。」

カンナには仕上がりを左右するもう1つ大事な要素があります。
カンナの台です。カンナの木の部分です。

カンナの裏(材料の木材と接する部分)は実は真っ平らではないことをご存知ですか?
実は絵のように少し湾曲をさせて、材料の木との接触部分を減らし、摩擦を少なくする工夫がされています。

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この湾曲を大工自ら調整するためにあるのが、台直しカンナです。
カンナの木の部分を削るための小さなカンナです。

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カンナの台は削りながら使い込んでいくので、少しずつ台部分が薄くなっていきます。

私が大工を始めたときに手にした大事なカンナがあります。
早く一人前になれるように、当時の私としては無理をして購入した名人の手によるカンナです。


約8年使い込んだ今では、このように薄くなってしまいました。

刃の出る部分は徐々に間隔が開いてくるため、このように埋め木加工をして使います。

大工にとって本当の道具は自分で作り上げていくものだ、と親父からは教わりました。

自分の手にあった道具を作り上げてはじめて、大工の技を磨くことができます。

いい材料といい道具が出会い、最高の技が発揮できるとき、職人魂が喜びで震えます。

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